古道具 中野商店

古道具 中野商店

いやぁ、とってもよかった。しみじみとよかったよ。

骨董ほどは古くない大正や昭和の古びた道具を売るお店、中野商店にまつわる人びとのゆるゆるとした日々。小さな出来事が起こり波紋が広がるようにみんなのなかに変化が起こる。
読みすすめるうちに、雑多でちょっと埃っぽい中野商店にいるような気持ちになってくる。ヒトミやタケオ、中野さん、マサヨさんと一緒にお茶を飲んでいるような気持ちになる。ヒトミと一緒に今日はいつタケオに電話をしようかと考える。そして、中野商店のみんながとてもいとおしいと感じる。
そんな風にすっかり仲間入りしたところで中野商店の物語が終わる。もっともっと中野商店の物語を読んでいたかったのに。ヒトミとタケオのこれからをこっそり見ていたいのに。マサヨさんとお酒を飲みたいのに・・・。いま、一人、置いてけぼりにされたようでとても寂しい。