森に眠る魚

森に眠る魚

幼稚園ママの何とも言えない閉塞感がものすごくリアルに描かれていた。他人の生活を値踏みしてしまう、子供の能力をひそかに比べる、できることなら相手を出し抜きたい、自分にだけ内緒でみんな集まっておいしい情報を分け合っているんじゃないかという焦燥感、そんなことを考えてしまう自分への嫌悪感、夫にだからこそ言えない胸の内。どれも身に覚えがある。ここまで追い詰められてはいないけど、わかりすぎてつらい気持ちになった。角田さん本当に上手い。でもちょっと桐野夏生みたい。何度も読みたくなる小説ではないのは、この内容だものしょうがないね。