マイ・ストーリー

マイ・ストーリー

山本容子さんは作品や外見のイメージとはちょっと違ってなかなかワイルドな人だ。文章も硬質な文章で無駄がない。でも男性的かというとそうではないように思う。自立した大人の女。しかも才能とそれに見合った努力をするパワーがある。家庭環境が複雑、恋愛と芸術を融合させたような結婚、高名な評論家との不倫、という内容はスキャンダラスだし、いくらでもドラマティックな自分の人生に酔ったような文章を書くことは可能だけれど彼女はそうはしない。冷静に自分を見つめ過去を振り返る。そしてその過去を否定しないし「今の山本容子を作ってくれたのはこの過去だ」という視点に立って、自分の過去の出来事を愛しく思っている。読んでいてとても気持ちがいい。
カバーの表はシンプルで裏に作品や写真が複数載せられた凝った装丁なのに、図書館で借りたので見られず・・・。本屋で見られるかなー。