卵の緒

卵の緒

卵の緒

捨て子だと思っている小学校4年生の育生、妙ちきりんな母親、そのとぼけたボーイフレンド、不登校の同級生、血の繋がらない親子を軸に、「家族」を軽やかなタッチで描く。坊ちゃん文学賞大賞受賞作に書き下ろし1編を収録。

今をときめく若手作家瀬尾まいこ。「いい人オーラ」みたいなものが苦手で敬遠していたんだけど、オフ会で話題になったこともあり手にとってみました。
予想通り、すごくいい話。ストレートな愛情に包まれた心温まるお話。出てくる子供たちはみんな素直でかわいい。母親は大きな愛情で子供を包んでいる。親子の絆、血の繋がり、家族というものについてちょっと考えてみたくなるような、そんなテーマも含まれる。なんというか、ケチのつけようのない物語。
そう、ケチのつけようのない物語だから、おとぎばなしのような印象を受けてしまう。「卵の緒」の母親のようにまっすぐで過不足のない愛情を子供に注げたらいいなと思うけれど、実際のところは過不足だらけでバランスを取るのに四苦八苦している親がほとんどだと思うし、子ども自身も親の愛情をすんなりまっすぐに受け止められるわけではない。私はこんなにすがすがしい親子関係ってないよと思ってしまうから、どうしても素直にこの物語を受け入れられない。まぁ、それは私の個人的な事情であって、この作品のよしあしとは何の関係もないんだけれど。うん、そう、私には合わなかったかなという感じです。