カンバセイション・ピース

カンバセイション・ピース

カンバセイション・ピース

幼少時の記憶や一族の歴史が「気配」として今も息づく古い家に暮らすことになった作家の「私」は、時空を超えた生のシンフォニーを聞く…。『新潮』連載に加筆し単行本化。


某SNSの読書会の課題図書。ものすごく長い時間をかけて読んだ。この前に日記にも書いたけど、何も起こらない日常で主人公の中年男性が取り留めのないことを理屈っぽく考えるていたり、古い家にたくさんの人が住んで(もしくはやってきて)あれこれと思い出話をしたり議論をしたりという小説で、筋というものはほとんどない。続きが気になってやめられないとも味わい深いとも違う独特の面白さ。面白いんだけどもずっと読み続けると飽きちゃうし、でもやっぱり面白いから途中でやめる気にはなれないってことで、長い時間がかかったってわけ。こういう、あらすじでも感想でもましてや書評でもなんでもないような文章を書くしかないような読後感なのだー。
保坂哲学を保坂的小説作法にのっとって、語りまくった感のある小説。嫌いではないし面白いけど(くどい)、ここまでの分量を書かなくちゃいけないのかなぁと思ったりもする。これだけの分量を書いても、小説という形では自分の思いを書ききれないから、近頃の保坂さんは小説論を書いているのかなと裏読みをしたりする。今度は小説論のほうを読んでみたいなぁ。