本からはじまる物語

本からはじまる物語

本からはじまる物語

トーハンの書店向け販促誌に載っていた本にまつわる短編を集めたもの。執筆人が豪華で恩田陸本多孝好今江祥智二階堂黎人いしいしんじ柴崎友香梨木香歩ほか。一作品10ページ程度の短編ばかりなのでちょっと物足りなさもあるんだけど、どれも本が出てくる話ばかりなので、それはそれは楽しく読んだ。


絵本ハンターが森へ絵本を狩りに行く恩田陸の「飛び出す、絵本」、エッセイのようなファンタジーのような招き猫が登場する今江祥智の「招き猫異譚」、有名作品のパロディ、有栖川有栖「迷宮書房」、異彩を放つ梨木香歩「本棚にならぶ」が好き。


恩田陸「飛び出す、絵本」では絵本は生きていて森に住んでいる。「せいめいのれきし」は力強く飛び回っていて、「ピーターラビット」シリーズは群れで行動していたりするらしい。こどもたちの、それから私のお気に入りの絵本は森のどんなところでどんな風に生活しているんだろうと考え始めたらとまらなくなってしまった。絵本たちが飛び回っている森に迷い込むことができたら、どんなに楽しいだろう!


有栖川有栖なんて大御所なのに読んだのはこれがはじめて。本格ミステリはほとんど読んだことがないからなぁ。この作品はかなり好きだったから何か読んでみたいけど、シリーズものが多そうで何から手をつけていいのかさっぱりわからないわ。


あと、柴崎友香「世界の片隅で」は普通ではあったけど、関西弁がとても自然ですごく読みやすかった。関西弁で書かれた小説がちょっと苦手だったんだけど(たぶん自分の使う関西弁とのちょっとした違いが気になるからだと思う)、この人のは読めそう。ほかの作品を読んでみたい。