こんな夜更けにバナナかよ

こんな夜更けにバナナかよ

難病患者の鹿野さんと24時間体制で支えるボランティアとの交流。
講談社ノンフィクション賞大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

印象的な題名。

障害者と呼ばれる人たちについて誰もが一度は感じたことがあるであろう
違和感、疑問、戸惑い。
例えば、障害者が神聖化されてしまうこと、障害者の我侭について、
性の問題、本当のノーマライゼーションとは何か、など。
これらのことを著者は謙虚な姿勢で地道に取材し考えをまとめていく。
読者は著者と一緒にそれらのことについてゆっくりじっくり向き合うことになる。
それは読者が自分の人生を考えることにもつながっていく。

いろんなことを考えさせられる作品。
私が一番深く考え込んでしまったのは「ノーマル」ってなんだろう?ということ。
ノーマライゼーション」の「ノーマル」って具体的にどういうことなんだろう。
健常者と同じように気軽に町に出ること親元から自立して暮らすこと、
そういう大きなくくりではわかりやすいけれど、
人と人とのかかわりの中で「ノーマル」なことってどういうことなんだろう。
健常者であっても何を「ノーマル」とするかは人によって違う。
すべての人にとって「ノーマル」であることというのは存在しないのではないか。
そんな疑問のひとつの答えがここには書かれています。

私の拙い文章ではこの本の良さを伝えきることは出来そうになりません。
とても読みやすい本なので、少しでも興味がもてれば読んでみてください。