雪沼とその周辺

雪沼とその周辺

山あいの田舎町「雪沼」とその周辺で生活する人々の日常を綴った短編集。
抑制の利いた装丁もとても素敵。

本当に静かな物語ばかり7編。
いささか地味すぎると思えるくらいの登場人物ばかりだけれど、
どれもこれもとても印象的。
しっとりたおやかな文章で描かれた色や音や人物の表情が浮かび上がってくるよう。
近頃はドライな文章を書く作家が好きだと思っていたけれど、
こんな風にしっとりした文章というのもいいもの。
日本の山あいの田舎町のお話のはずなのに、
どことなくフランスあたりの田舎町の雰囲気が漂うのは
著者がフランス文学者だからなのでしょうか?

一編一編、大切に読みたい一冊。