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- 作者: 草薙厚子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/04/06
- メディア: 単行本
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神戸児童連続殺傷事件から7年。
少年Aが仮退院した。
医療少年院で行われた極秘の贖罪教育・矯正教育とは?
少年Aが仮退院するというニュースが出たとき誰もが思ったのが「たった7年で「酒鬼薔薇聖斗」が更正できたのだろうか?」ということだろう。
もちろん私もその一人だ。
当時、あまりに衝撃的な事件だったので、なぜ少年Aがこのような凶行に及んだのか想像すらできず、ただ突然変異の怪物のように感じたものだ。
そんな彼にどのような矯正プログラムを施そうと7年で社会復帰ができるとは到底思えなかった。
この記録を読んで(「全記録」というには内容が薄いような気がするが)、少年Aが生身の人間であり成長過程の少年であったということが理解できたような気がする。
この矯正プログラムが彼の成長を促し、少なくとも少年院の中では更正できたのではないかということも感じることが出来た。
ただ社会生活に戻ると、少年院とは違った環境に身をおくことになる。
一般人よりも彼の置かれる環境は苛酷だろう。
その中で彼が正常な社会生活を送っていくことははたして可能なのだろうか?
今の社会に彼を受け入れるだけの余裕があるのだろうか?
いろいろなことを考えさせられたが、
少年Aに行われた矯正教育は特別なものであり、その他の少年事件全てに対して行われているものではない。
少年事件すべてに対してこのくらいの教育がなされるのであれば、また、その内容や進行状況を(せめてこの本のレベルくらいは)公開すれば、もう少し社会の少年事件についての不安も解消されるのではないだろうか?
せめて被害者の家族にだけは家族のニーズに基づいた情報公開をして欲しいと切に願う。