邂逅の森

邂逅の森

大正時代、秋田のマタギ、炭鉱と馴染みのないキーワードばかり。
直木賞山本周五郎賞のダブル受賞ということでミーハー心を出して手にとったものの、
最後まで読めるかどうかあやしいものだと思っていた。

けれども読み始めるとどんどん作品世界に引き込まれ、あっという間に読んでしまった。

富治という一人の男の生き様と、そこにかかわる人々の思い、文明と神秘。
一歩間違うととてつもなく大げさで嘘臭くなってしまいそうなテーマが見事に昇華され、
骨太の読み応えのある作品になっている。
とは言っても、熊狩りの描写などはリアルで迫力があり、
全く堅苦しさを感じないエンターテイメントにもなっている。