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- 作者: 島本理生
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/02/28
- メディア: 単行本
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あぁ、もうこれは何を書いていいのかわからない。この小川洋子さんの帯の紹介文がすべてを物語っているし。
「魂を焼き尽くすほどの恋。封印したはずのあの痛みを、よみがえらせてしまう小説」
そう、よみがえりました、20代の切なくて甘い恋が。ごまかすこと目をそらすこともできない恋。あまりにも鮮烈によみがえって来たので思わず涙しちゃった。痛い、痛い、痛すぎる。主人公の泉が恋をする葉山先生の描写がまた元彼にそっくりなんだよー。いい人なんだけど(いい人だからこそ?)恋をするには適さない男。それがわかっても心の奥で繋がっている感覚がその恋を終わらせることを許さない。くー、やっぱり痛い。そんな思い出と、今だからわかる彼の事情や本当の気持ちがごっちゃになって、ラストの泉と自分が重なる。そんなわけでかなり個人的な思いにとらわれつつ読んだので冷静な感想なんて書けない。くー。
とは言っても、この小説は二人の恋だけが描かれたものじゃない。思春期という感情の色の濃い青春時代が終わり、大人になって行く過程で失われたように思えるものはたくさんあるけれど、その過去も現在の自分のものなんだというメッセージがあるんだと思う。
それにしても島本理生ちゃん、上手くなったなぁ。淡々とした島本理生独特の雰囲気も残しながらも感情表現が豊かになってリーダビリティも高くなった。長編だから芥川賞は無理よね、直木賞狙っちゃう?でも若すぎるのよね。本屋大賞はどうだっ!