アマゾン・ドット・コムの光と影

アマゾン・ドット・コムの光と影

私はリアル書店が大好きだけど近頃はネット書店で購入することのほうが多くなった。近所のリアル書店の品揃えが悪いということもあるけれど、育児中の身ではゆっくり書店の棚を見てまわることはおろか書店に行くことすらなかなかままならない。そんな私にとってはネット書店様様なんだけれども、出版業界にとってはどのような影響があるんだろう?アマゾンにはいろいろな噂も付きまとうし・・・。というような興味からこの本を読んだんだけど、ちょっと期待はずれだったかも。


著者が潜入したのはアマゾンジャパンの配送センター。自給900円で本をピックアップし梱包するアルバイトだ。そこでの労働の実態と取材から予測するアマゾンの経営状態がかかれているのだけれど、アマゾンの経営その他に関する部分はアマゾンの秘密主義に阻まれ明確な形が明らかにならない。著者が推測(もちろんそれが正しくないとは思わないのだが)するしかなく、苦しいところだ。その結果、配送センターでの労働の実態から読み取れる労働や所得の二極化(専門知識を生かして高給をを得る層と単純労働で低賃金な層)というような部分が焦点になっており、出版業界とアマゾンの関係に興味がある者としては物足りない。考えてみれば、著者は元物流業界紙編集長だった人。どっちつかずの題名と帯をつけて購買層を広げることに成功した著者と情報センター出版局の勝利なのかも。


とはいうものの、配送センターでの体験を綴った部分は臨場感もあり読み物としては楽しむことが出来た。アマゾンに関しては他の本を読んでみようかな。