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- 作者: アンソニーホールデン,Anthony Holden,高橋啓
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 1997/05
- メディア: 単行本
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グレアム・ヤングのことはなにかの本で読んでいたので(なにかの本ってそりゃ連続殺人犯の事を書いた本に決まっているけれども)だいたいのことは知っていたけれど、こうして深く掘り下げた本を読むと、その異常さに圧倒される。
ヤングは化学実験として父親や姉、継母、会社の同僚、友人に毒を盛った。その人たちに対する憎しみや負の感情といったものは一切ないのに、ただただ実験のために毒を盛ったのだ。毒を盛るのに理由は要らない。ただ毒を盛ったらどうなるのか知りたかったのだ。そこには全く人間的な感情がない。もちろんつかまった後も後悔や懺悔の気持ちなどは持つはずもない。毒を盛ってその後の変化を詳細に記録する。その間も全く普段と同じ。実験の成果に喜びさえ見出していたのだろう。そんな人間が自分と同じ屋根の下に暮らしていたら?自分の職場でお茶くみをしていたら?考えただけで背筋が寒くなる。ヤングはなぜこんな人間になってしまったのか。それがわからないことも恐ろしい。