後宮小説 (新潮文庫)

後宮小説 (新潮文庫)

第一回ファンタジーノベル大賞受賞作。

これもすっごく面白かった!「語り手の事情」ほど洗練されていないところもあるけれど、これがデビュー作なんだからあたりまえか。この物語は作者が「実在する史料を元に作った小説」という形をとっているけれど、まったくの架空小説。本筋に関係ないエピソードまで詳細に記されているので、中国史に疎い(というレベルですらない)私は危うく騙されそうになりました。それほど緻密に組み立てられているにもかかわらず、どこか軽やかでユーモアのある筆致が酒見さんらしさなんでしょうね。すっかり酒見賢一にハマリそう!