江戸の怪奇譚

口から針を吐く少女。殺人鬼に豹変したまじめな旗本。遊女の亡霊のしわざか、物の怪の悪戯か―今も昔も本当に怖いのは、人の心の闇が生んだ「現実」。

週間ブックレビューで林家正蔵さんが紹介していた本。最近なんだか週間ブックレビューが大好き。いろんなジャンルの本を読みたいと思ってもエンタメ系小説以外は情報が少ないから、あの番組はとても重宝する。そんなわけで、これも普段なら存在にすら気がつかなかったかもしれない本。それがとても面白かったので、すごく得した気分。
書かれているのはいろいろな資料から集められた怪談話なんだけれど、その怪談話を元に江戸時代がどういった時代だったのかを探るという試みがなされている。どういった状況からこの怪談話が生まれたのかという考察を読んでいくにつれ、江戸時代と今の時代の闇が連綿と続いている事に背筋が寒くなるような恐ろしさを感じてしまう。妖怪よりも幽霊よりも怖いもの。それはいつの時代もやっぱり人間なのだ。