チョコレートコスモス

チョコレートコスモス

「まだそっち側に行ってはいけない。そっち側に行ったら、二度と引き返せない。」
幼い時から舞台に立ち、多大な人気と評価を手にしている若きベテラン・東響子は、奇妙な焦りと予感に揺れていた。伝説の映画プロデューサー・芹澤泰次郎が芝居を手がける。近々大々的なオーディションが行われるらしい。そんな噂を耳にしたからだった。同じ頃、旗揚げもしていない無名の学生劇団に、ひとりの少女が入団した。舞台経験などひとつもない彼女だったが、その天才的な演技は、次第に周囲を圧倒してゆく。稀代のストーリーテラー・恩田陸が描く、めくるめく情熱のドラマ。演じる者だけが見ることのできるおそるべき世界が、いま目前にあらわれる！

すっごく面白かった！読み始めると一気読みは必至の恩田版「ガラスの仮面」。とにかくすごい迫力。後半のオーディションの場面は文章を読んでいるはずなのに、生の演技を見ているような臨場感と緊迫感があり、ぐいぐい引き込まれてあっという間に読んでしまった。
ただ、「ガラスの仮面」へのオマージュ作品というには設定やエピソードが似すぎているかなという気もする。だからといってパクリだなどというようなレベルではないんだけど。このあたりは個人的な感覚なのでなんともいえないかな。あと、飛鳥にはあまり魅力がないな。ま、まだ目覚めてない原石なんだから、これからもっと魅力的になるのかな。ということで今日発売の「ダ・ヴィンチ」をみたら、続編の予定があるとのこと。未完の漫画に対して恩田陸はどのように決着をつけるのか興味津々。すーっごく楽しみ！絶対に読まなきゃ。