大吸血時代

大吸血時代

大吸血時代

ウツ気味の中年ヴァンパイアの俺が拾った少女は、「人間牧場」から逃げてきた赤い血のかよった本物の「人間」。その新鮮な血をいただくお楽しみを後回しにして奇妙な同居を始めたのだが、ガキを育てることの面倒といったら…そしてその楽しさときたら…!スリルでクール、滑稽でホロリとする、吸血鬼モノの「快作」、ついに日本上陸。

「ヒストリアン」に続くヴァンパイアもの、って「ヒストリアン」は挫折したんだけど。こちらのヴァンパイアはユーモラスなパパヴァンパイア。大吸血鬼時代を作った、もちろん人間の血が大好きなヴァンパイアが6歳の人間の女の子を拾って育てる羽目になっちゃった!というお話。
このストーリーの舞台は近未来でヴァンパイアの世界になっている。人間は建前上いないことになっているから人間の子供を育てるなんてものすごく大変なことなのだ。まずヴァンパイアは排泄をしない、食料は人工血液だけ、なんてところからして人間とは違うのだから、もうあたふた。そうじゃなくたって子育ては大変だっていうのに。あたふたしながらも6歳の少女イスズの愛らしさにすっかり父性を刺激されたヴァンパイア、マーティの悪戦苦闘ぶりがとても微笑ましい。ティーンエイジャーに成長したイスズが巻き起こす問題やマーティの恋愛なども絡みつつ、ラストは大団円。ハッピーエンド。読んでいる間中、マーティと一緒にあたふたしたりニヤついたり、とても楽しい体験ができた。
ただ中盤はちょっともたついた感じで、反対に後半はちょっと急ぎすぎ単純すぎのきらいがあるかな。あとマーティの語りには言葉遊びや(多分)スラングなんかがたくさん使われているので、ちょっと意味がとりにくいところもあったのが残念。英語力があればもっともっと楽しく読めたんだろうな。ま、こればっかりはしょうがない。