配達あかずきん

配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)

配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)

「いいよんさんわん」―近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真…。駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、さまざまな謎に取り組んでいく。初の本格書店ミステリ、第一弾。

もうこれすっごく好き!大好き!書店とか図書館が舞台というだけで否応なく期待値がアップするんだけれど、実際に読んでみてその期待値に答えてくれる物語ってなかなかないような気がする。でもこれには大満足!

暴れん坊本屋さん」の中にミステリーとその他の要素を入れた感じというのかな。とにかく書店の魅力満載。題名も著者もわからない本を求めるお客のために持てる知識と人員を駆使して探す書店員。毎日がちょっとしたミステリなのよね。うんうん。
ミステリとしては日常の謎系でちょっと頭をひねれば解けそうな謎ばかり(もちろん私は解けませんが!)なんだけれど、ちゃんと本と書店にまつわる謎が作られているのがいい。書店が舞台なだけで起こっていることは直接書店や本とは関係がない、というのはつまらないし。
キャラクターもとても好き。しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵。杏子はしっかり者の顔の中に、とぼけた部分やミーハーな部分が混ざっているのがとてもキュートだし、多恵は頭がいいんだけどものすごく不器用なところがおかしい。人物に深みが出て共感しやすいキャラクター。
ミステリー部分以外のストーリーのオチはちょっと出来過ぎというかベタだなぁと思いつつも、胸がきゅーんときちゃった。

まぁ、とにかく、私はこの小説大好き!著者の次回作はもちろん読むし、「威風堂書店シリーズ」ということで、また書いてほしいなぁ。