パニックの手

パニックの手 (創元推理文庫)

パニックの手 (創元推理文庫)

黄昏の列車のなかで、ぼくは目を瞠るほど美しい親子と同席になった。妖艶で饒舌な母親と、うまく舌が回らず涙ぐむ娘。だが母親が急にぼくを誘惑しはじめ、逃げようとしたとたん、「いか、か、か、かないで、お願い!」娘が腕にかじりついてきた…。物語に潜む“魔”が筆舌に尽くしがたい余韻を残す表題作をはじめ、世界幻想文学大賞受賞作「友の最良の人間」など全11編を収録。


あちこちで絶賛されているジョナサン・キャロル。噂に違わず面白かった!独特の読後感。普通の小説(普通の人の人生の機微を描いたもの)もあるのだけれど、現実と幻想とが奇妙にミックスしている作品がとても面白い。平らな道をまっすぐ歩いていたはずなのに、いつの間にか雲の上を歩いていた。そして目の前には空の亀裂が!・・・みたいな感覚。わかりにくい・・・(苦笑)。なんとも不思議で心もとないんだけど、その感覚が病みつきになってしまう。そんな魅力にあふれた作品たち。絶対に他の作品も読むー!