スコーレNO.4

スコーレNo.4

スコーレNo.4

人生には4つの小さな学校がある。家族、恋愛、仕事、そしてどうしても忘れられないもの、拘ってしまうもの、深く愛してしまうもの。そういうものこそが扉になる−。日常の丹念な描写から見つめる、ひとりの女性への道のり。


素敵な本を読んだときはいつも、感想を書くのをやめようかと思う。良かったという気持ちがうまく表現できなくて、自分の中に「褒め言葉」のボキャブラリーが少ないことに気がつく。それってちょっと悲しいことだよね。

さて、「日をつなぐ」以降、ずっと楽しみにしていた宮下さんの作品。期待はずれだったらどうしようとドキドキしながら読んだけど、そんな心配は無用でした。
やっぱりこの人の文章は素敵。丹精で瑞々しい文章。一人の女性の歩みを丁寧な心理描写で描いていて、主人公の女性に寄り添うような気持ちで読みました。幼い頃から見つづけてきたもの、培ってきたことが自分の核になり、そこから新しい人生の扉が開く。主人公の麻子の人生はこれからどうなっていくのでしょう。明るい希望を持たせるラストがとてもすがすがしく心地よいものでした。
「日をつなぐ」とはかなり雰囲気が違うけれど、どちらの物語も主人公たちのこれから先を見守っていたくなる、そんな魅力にあふれています。これは宮下奈都さんの作品の特徴なのでしょうか。早くも次の作品が待ち遠しく感じられます。