迷産時代 

迷産時代

迷産時代

私は産みたいのだろうか?産みたくないのだろうか?
子供、仕事、恋愛、自由ー たった一つの人生だから。踏み切れないあなたに捧げる物語

「子供を産む」というテーマに真正面から取り組んだ連作短編集
女性であれば誰しもが考える「産む」ということ。不妊症、セックスレス、未婚、いろいろな事情を抱える女性たちが「産む」と言うことに向き合わざるを得なくなり、迷いに迷って自分たちの道を切り開いていく、そんな物語。
私自身も子供を「産む」性であると言うことに戸惑い、迷った時期があるし、子育てをしている今もここに出てくる女たちと同じように、本当に産んでよかったのか、産まない人生はどんなものだったのだろうと考えることがある。独身の女性が既婚で子持ちの女性に抱く思いも、専業主婦が独身または既婚で子供を持たずに働いている女性に抱く思いも、両方とも身に覚えがある。その心理描写がとてもリアルで、痛いところを突かれた!と思うこともあるくらいで、とても読みごたえがあった。

子供を作り育てることは男女二人ですることだけれど、「産む」ことは女性にしか出来ない。男性が部外者のようになってしまうのは、「産む」という部分に焦点を当てているから仕方のないことなのかもしれないが、読んでいくうちに女性の一方的な思いばかりで少し息苦しくもなった。「産む」と言うことに直面している女性のパートナーである男性がそのとき何を感じているのか、「裏」迷産時代と言うようなものを読んでみたい気がする。