理由あって冬に出る

理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)

理由(わけ)あって冬に出る (創元推理文庫)

どこの学校にもこういう怪談めいた話がありますが、もしかしたらこんな真相があるのかも?
主人公の葉山君をはじめ、芸術棟でいつも部員不足で部活動をする高校生たちが幽霊騒ぎの真相を突き止めるために活躍するのですが、結構な数なのにうまく書き分けられているし、それぞれのキャラクターがたっているので、お気に入りのキャラクターに肩入れして読むのも面白い。文章も読みやすく、オノマトペがユニークです。
ミステリー部分はちょっと弱いかなと思うのですが、学園ものという設定とキャラクター造型でカバー出来ているのかな。読み終わるまで退屈には思いませんでした。事件の真相とはちょっとずれたところにもうひとつの事件があったりするのですが、このあたりはちょっと余分かなと思いました。というか、こちらはこちらでまたきちんと書かれるといいなと思います。
そんなわけでこの小説はとても面白かったのですが、同じくらい面白かったのがあとがき!作者の似鳥鶏さん、なかなかサービス精神が旺盛な方のようです。また次作も読んでみたいなぁ。