悩む力 べてるの家の人びと

悩む力

悩む力


私にはやさしさが足りないなと思う。自分以外の人の、辛い、寂しい、悲しい。そんな気持ちを受け止められない。愚痴も聞いてあげられない。自分は愚痴をこぼすくせに人の愚痴は聞いてあげられない。心が狭くて冷たい人間だなと思う、自分でも。

「悩む力」を読み終わってそんなことを思った。精神病を抱えて生きる人たちが一緒に暮らす場所である「べてるの家」。そこには世間からはじかれて世間一般の幸せを望むことが難しくなった人たちばかりなのに、お互いがお互いを受け入れ許しあって生活している。こんな言葉で書くほどきれいなことばかりじゃなくて、本当はいつも問題ばかりなのだけれど、それでもべてるの人たちは根っこのところで繋がっていて、そのことがその人たちを幸せにしている。そんな豊かな人間関係は私には到底作れそうにないと思う。


メモ
読みやすい文章。
べてるを鏡に自分の人生を見ることができた著者の経験。
最初から現在までべてるにかかわり続けている向谷地さんの本もあわせて読みたい
設立から時系列でわかるようになっているものと、患者の体験談がもっとたくさん載っているもの。